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2019-2025

東北大学
大学院工学研究科
バイオ工学専攻
応用生物物理化学研究室(魚住研)

バイオスティミュラントによる気孔運動制御と環境耐性の向上

 植物細胞の機能を制御し活性化させる化合物は「バイオスティミュラント」と呼ばれ,近年世界中で盛んに研究が進められています. 葉の表面にある「気孔」は二酸化炭素の吸収や水分の蒸散を行う重要な器官ですが,通常は環境に応じて自動で開閉しています.私たちは緑茶成分(カテキン類)や化合物ライブラリーに着目し,イオンの動きを調節することで気孔の開閉を自在にコントロールする技術を開発しました.これにより,気孔を開いて二酸化炭素の吸収量を増やし成長を促進させることや,気孔を閉じて乾燥に耐える力を付与することが可能となり,作物の生産性を飛躍的に高める新たな技術として期待されています.
高塩耐性植物の創製

 世界には塩分濃度の高い土地が多く存在し,作物の生育阻害や収量減少の大きな要因となっています. 私たちは,植物の雄しべの先端で特異的に働く「塩分(ナトリウム)を回収する仕組み」を発見しました.この塩分を退避させるシステムを,植物全体の栄養の通り道(篩管)へと応用したところ,塩害に強く,塩分の多い過酷な土地でもしっかりと収穫を得られる高塩耐性植物の創製に成功しました.

2011-2019

東北大学
大学院理学研究科
化学学専攻
有機化学第一研究室(上田研)

イオンチャネルによる植物の“動き”の機構と制御

 植物も動物のように動く現象を持っています.代表的な例が,昼に葉を開き夜に閉じる「就眠運動」や,二酸化炭素を取り込む「気孔の開閉」です.これらの動きは,細胞内外をイオンが行き来して膨らんだり縮んだりすることで起こります. 私たちはアメリカネムノキを対象に研究を進め,細胞のイオンの出入り口となる「イオンチャネル」を複数特定しました.これらのイオンチャネルが体内時計(概日リズム)に合わせて働くことで,葉の動きが生み出されるメカニズムを解明しました.
「植物免疫ホルモン」輸送体の発見と基質認識機構の解明

 植物が虫からの攻撃を防いだり,花や種子を作ったりする際には「ジャスモン酸類」という植物ホルモンが欠かせません.特に花が咲く際には,このホルモンが適切な場所へ運ばれる必要がありますが,その詳しい仕組みは長年謎のままでした. 私たちは,微量な成分を精度高く分析する独自の手法を構築し,ジャスモン酸類を細胞膜越しに運ぶ「輸送体」を特定することに成功しました.この輸送体は,散らばったホルモンを回収して効率よく運ぶことで,体内のホルモン濃度を適切にコントロールしています.さらに,状況に応じて別の物質も柔軟に運ぶことができる多機能な性質を持つことも突き止めました.

2001-2011

​東京大学
大学院農学生命科学研究科
農学国際専攻
新機能植物開発学研究室(西澤研)

石灰質アルカリ土壌耐性イネと栄養豊富なイネの創製

 植物が鉄分を吸収しにくい「アルカリ土壌」では作物がうまく育たないため,こうした土地でも育つ植物の開発は食料問題の解決に大きく貢献します. 私たちは,イネが根から直接鉄を取り込む新しい仕組みを解明し,その能力を強化した「鉄欠乏に強いイネ」の開発に成功しました.これにより,これまで難しかったアルカリ土壌でのイネの栽培が可能となりました.さらに,この鉄を運ぶ仕組みを応用し,お米の種子(玄米)の中に鉄分や亜鉛を多く蓄えさせる栄養価の高いイネの創製にも成功しています.

カドミウムファイトレメディエーション用イネとカドミウム極低吸収品種の創製

 有害物質であるカドミウムは,作物を介して体内に取り込まれると健康被害を引き起こすため,土壌からの除去や作物への蓄積防止が強く求められています. 私たちは,イネがカドミウムを吸収する仕組みを解明し,2つのアプローチでこの問題の解決を図りました.1つ目は,土壌中のカドミウムを効率よく吸い上げて土をきれいにする「環境浄化(ファイトレメディエーション)用イネ」の開発です.2つ目は,重イオンビーム処理によりカドミウムを吸う機能を抑え,お米にカドミウムをほとんど蓄積しない安全なイネ株を選抜・開発することに成功しました(あきたこまちRとして2025年上市).

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